馬の話記事一覧

 馬は、「牛馬」と呼ばれる様に、昔から牛と共に日本を含める世界各国で、交通・運搬・農耕などの様々な場面で、人々の生活には欠かせない動物として共存してきました。紀元前4000年頃には、既にユーラシア大陸では馬・ロバなどが家畜化とされており、3500年頃には馬車が存在しているという古く深い歴史があります。 日本でも少し遅れますが、4世紀頃には馬が中国大陸から伝来していたと言われており、7世紀初めには日...

 前回の記事(世界に250種類いる馬)では、サラブレッドやクォーターホースなどメジャーな馬の種類を紹介させて頂きましたが、今回はあまり世間で知られていない、マイナーな馬の種類の一部を紹介してゆきたいと思います。@シェトランドポニー ポニー(pony)とは、体高(身長)141cm以下の小型馬であり、脚も他の馬に比べて短く太いのが特徴です。ポニーという言葉は、『小さなオスウマ』を意味するフランス語『P...

 よく「牛馬」と昔から言うわれているので、「牛」と「馬」はワンセットであり同類の動物であると思われる事がありますが、両者は先祖こそは同じと学説などで考えられていますが、その後の進化により外見・身体機能も全く変わったものになってしまっています。 動物分類学では、牛と馬は同じ哺乳類動物ですが、更に以下の様に内訳されます。牛(学名:Bos taurus)は『哺乳動物網・偶蹄目・ウシ科』に属し第3指(中指...

 乗馬の歴史を調べてみると、紀元前3500年前後には中央アジアにて馬の家畜化、紀元前1500年前後には戦争用軍馬として、騎兵や戦馬車として利用されいる記録があります。また日本でも、弥生時代(2世紀後半)には馬が伝来し、4世紀頃には既に乗馬の技術が伝わっていたいうので、かなり深い歴史を持っています。 その深く長い歴史を持つ乗馬は、古代人が馬に乗るという技を見つけて以来、古今東西問わず馬匹・乗馬術が発...

 西洋(近代)馬術の発展は古代ギリシアから始っており、騎士出身の名将・クセノポンが著した『馬術について』が世界最古の馬術書があり、クセノポンが馬術の始祖と位置付けられいます。 後の18世紀のド・ラ・ゲリニエールという人物がクセノポン馬術を研究洗練し、近代馬術の基礎を築いたので「近代馬術の父」と呼ばれ、19世紀のドイツ馬術家・シュタインブレヒトという人物が考案した騎乗法や調教法が、現在の馬場馬術に使...

広大なアメリカ大陸を中心に、馬を自由自在に乗りこなしつつ、時にはロープや拳銃を使って、獰猛な野牛の群れを追って捕まえるという逞しいイメージがある『カウボーイ』。片や合戦の折、大鎧を着用し、疾走する馬上の上で、弓矢を放ち、正々堂々自分の名を名乗り、いざ敵に一騎打ちを挑んでゆく、勇敢なイメージがある『日本の武士』。 両者は、生国・人種・時代こそ全く違いますが、共通する点が幾つかあります。それは両者共に...

 今回は馬が車台を曳く『馬車』について書いてゆきたいと思います。日本を含める世界各国一部の山間地域や農村部では、木材運搬用馬車が利用されている所は除き、現在の様に、自動車や電車などの交通手段が発展著しい国々(特に日本)では、直に馬車をに見かけることは、とても少ないです。見られるとしたら各地の観光名所・儀礼的行事(王皇族婚礼や大使信任状捧呈式)等の限られた場所ぐらいです。近年では、現・駐日米大使であ...

 現時点で、野生の馬が家畜化された最も古い記録は、東ヨーロッパの国の1つであるウクライ南方にある新石器時代(紀元前3500年頃)の遺跡から鹿角で出来た馬具(ハミ)や馬の頭蓋骨などが発見されていてます。また最近の世界各地で行われた馬の出土遺骨からの毛色遺伝子検査よれば、紀元前1万年以前の馬の毛色は鹿毛のみでしたが、先述の新石器時代頃には、既に栗毛色や斑点毛色の馬が出現していたという結果が出されていま...

 現在、世界各地で飼育されている馬の品種は約250品種と言われています。しかし、今日でも其々の品種の定義は未だ曖昧であり、先の数字も確実ではありませんオーストラリアのストックホースが好例ですが、特定地域の在来馬で登録団体の存在しない馬の存在や利用目的で一纏めにされいる品種や希少品種も馬の品種に含まれています。 強いて「品種登録を行う団体によって、それぞれの規定に従い登録された馬」を定義として馬の品...

 馬や犬などの動物を使う競技を『アニマルスポーツ』と一般的に呼ばれていますが、その中でも有史以来、馬を利用した競技は多々あります。今回はその一部を今回紹介させて頂いたいと思っております。馬を使う競技(スポーツ)と訊かれれば、先ず『競馬』を答える方が多いのではないでしょうか。日本国内でも日本中央競馬会(JRA)や地方競馬場の主催でよく競技が開催されて、観客は馬のゴールの着順位を予想する賭博として人気...

 生殖機能がある種牡馬の気性は激しいです。些細な事でも直ぐに興奮したりし、凄まじい場合は殆ど棹立ち状態になったりします。現在の日本の乗馬界では、優秀な種牡(雄)馬を繁殖用に残す場合は別として、馬の調教や管理を容易にするために、牡馬の生殖機能は除去・去勢する事が一般化になっていますが、昔は全く異なっていました。特に武士が政治権力を握っていた鎌倉〜江戸時代にかけては、彼らが乗る馬は皆、気性が真に激しい...

 前回の記事(日本の馬の去勢史)では、我が国内の去勢史の一部を紹介させて頂きましたが、今回は他国の馬の去勢史について紹介させて頂きたいと思っております。先に結論から言わせて頂くと、昔から海外では東西を問わず、馬・牛・豚などの多くの家畜動物の去勢が行われていました。馬(他の家畜動物もそうですが)を去勢する本来の目的として、『癖が強く、性格が悪い動物の生殖器を排除する事によって、その血統を絶やすため』...

 以前の記事では、馬を利用する競技の一部について紹介させて頂きましたが、今記事では『馬が使われる伝統行事』の一部について紹介させて頂きたいと思います。日本で、馬が利用される伝統行事の筆頭に挙げられるのは、流鏑馬ではないでしょうか。流鏑馬については、記事「西洋馬術と日本馬術の違い」内でも少し紹介させて頂いておりますが、古来より神事・祭事の奉納式典行事や武芸鍛錬が目的として平安時代から存在していますが...

 以前の2記事で、日本と海外における馬の去勢史について紹介させて頂きましたが、それらの記事では、「日本では古代〜近世の江戸時代にかけて種牡馬の去勢する概念は無きに等しく、(例外があるにせよ)実際殆ど実施されていなかったのに対し、海外では紀元前より、ヨーロッパ・中東〜中国大陸の広大な範囲で、馬は勿論、牛や豚などの家畜動物全般の種牡去勢が頻繁に行われていた」内容が要点でした。 そこで今回の記事は、表題...

 少し前に、酪農のお話カテゴリ内にある記事「牛から誕生した慣用句・ことわざ」について執筆させて頂きましたが、今回は『馬にまつわる慣用句・ことわざ』の方を幾つか紹介させて頂きたいと思います。筆者の私見を言うと、牛の文字が入っている慣用句などよりも、馬の文字が使われている慣用句などの方が多い上、強く感銘を受ける物も多くあります。@名馬に癖あり(癖ある馬に能あり、名馬は悉く悍馬から生まれる):優れた才能...

 筆者が以前牧場で勤務していた折、我が国の牛や馬の家畜史を詳しく知りたくなり、インターネットでその関連の書籍を検索した所、『日本農書全集』というシリーズ書籍を見つけました。古代日本で発刊された農業書を収めた書籍集であり、農林漁業は勿論、薬草(本草)学や地方の農業史、災害記録などが事細かに収められた非常に面白いシリーズなのです。 その第60巻が、日本の畜産・獣医関連の古書籍が数点収蔵されており、現在...

 前の記事では、馬の厩舎の建て方(厩作)や飼い方(飼方)を記した珍しい古典書『厩作附飼方之次第』(以下、本書と称します)の概略と本書内で著述されている「厩舎の立地条件」について紹介させて頂きました。よって今回はその続編と言うべき、「厩舎の設計」について紹介させて頂きます。 本書は、馬の生理体質の本質を見極め、厩舎の建て方や飼料配分などの立地条件、寸法や量の数値で明確にされているので、現在の馬飼育に...

 現在、国内外にある乗馬クラブや競馬厩舎で飼育されている乗用馬や競走馬は、其々の使用目的によって日々給与される飼料の種類や量の違いはありますが、どちらにもマメ科牧草(アルファー)をベースとして、他にイネ科牧草(チモシーなど)が飼料給与されている場合が多いと思います。場所によっては、保存期間が長く、収納が容易な牛用飼料・ヘイキューブをマメ科牧草の代用として、馬に給餌されているケースもあります。やはり...

古来より、国土狭い島国である日本では、地球を覆うほどのユーラシア大陸に比べると、野生、飼養を含めて馬の頭数は、遥に少なかった事は事実でした。この事が、古代より日本国内での馬車は普及しない1つの原因となって、つい現代までの国内の道路舗装率の悪さを招いてしまった事は、記事「馬車と日本の道路」で記述させて頂きました。しかし、日本国内各地方には、農耕馬など使役目的を主として、日本各地方には、それぞれ小規模...

 「猿」と『馬』という組み合わせは、何とも不思議であります。猿は、物語の世界では、「カニ(さるかに合戦)」や「犬・雉(桃太郎)」といった他動物と絡んでいることは有名であり、方や馬では、人間との関わりが深い物語が多く存在しています。出典はモンゴル民話であり、日本の小学校教科書にも採録された『スーホの白い馬』や英国の女性小説家・アンナ・シュウエルが唯一執筆した名著『黒馬物語』が、その好例と言えるでしょ...

 今記事の表題を「馬と生死を共にした日本の偉人たち」という、何とも大仰な名にしてしまいました。実は、筆者が、この様な題名で記事を書くことになった動機の1つに、〜何とも物騒である上、当事者たちの名誉に関わる話ですが〜「落馬が死因」という日本の偉人3名を前々から知っていおり、この事を少し記事に書いてみたいという気持ちがあったからであります。因みに、この3名のお歴々のご職業は、時代は違えども、「武士」で...

 歴史好きの1人でもある筆者は、2016(平成28)年のNHK大河ドラマ『真田丸』を毎週欠かさず見ていますが、同番組のオープニングを見ていると、そのクライマックスで、馬上姿で朱色の具足(鎧兜)で身をかため、長い馬上槍をかざした真田信繁(幸村)が、有名な真田赤備騎馬軍団を先頭で率いて、果敢に突撃して来るシーンがあります。ミーハー感が強い戦国史ファンの筆者としても、赤備騎馬大軍団の先頭に立ち、勇ましい...

 日本の騎馬武者の事、それによって構成される騎馬隊(軍勢)について説明や考察させて頂いた記事(騎馬武者と騎馬隊)内で、騎馬武者(武家)世界では、テレビ時代劇の合戦シーンで見かけるような大規模な専一騎馬隊の存在はフィクション(非現実的)であり、実際は、騎馬武者(武士)と足軽(武士の子分・郎党たち)で構成された部隊が主力でした。我々が映像の世界で観ている大規模な騎馬隊というのは、近代軍隊で言う『騎兵隊...

 先の記事「猿まわしと馬の関係」で、猿を馬の守り神とする『厩猿信仰』と、その古代の人々の信仰心から現在でも残っている『猿まわし』という風習文化が誕生した事を少し紹介させて頂きました。時が移ろい、時代・文明・文化が変革を遂げた現代では、厩猿信仰や猿まわしは、盛んであった日本中世に比べると衰退しているのは事実ですが、しかしそれらの風習が全く絶えてしまったのか?と申せば、決してそうでなく、今でも日本各地...

 筆者がこの記事を執筆しているのは、2017(平成29)年の1月上旬であり、つい先日、新年を迎えたばかりでございます。この記事をお読み下さっている皆様の中には、寺社に初詣に行かれ、本殿で様々な祈願をなされ、今年の御守や破魔矢をお買い求めになられた方もいらっしゃると思います。また、2017年は酉年ですので、主にニワトリの絵が描かれいる『絵馬』もご購入され、そこに成就したい各々の願い(「志望校合格」や...